2026年09月22日更新: 30年間の塗り替え総額の比較、外壁材ごとの相性、見積書で確認する項目、付帯部のグレードの考え方を追加し、塗料グレードの単価・耐用年数を他のコラム記事とそろえ直しました。
「前回はシリコンにしたけど、もうツヤがなくなってきた」——玉名市でお宅を訪ねると、こうしたお声をよくいただきます。塗り替えのたびに「今度はどの塗料にしよう」と迷う方は少なくありません。
先に結論をお伝えすると、次の塗り替えまでの期間が10年前後でよく初期費用を抑えたいならシリコン塗料、あと20年近く同じ家に住む予定で足場を組む回数を減らしたいならフッ素塗料が向いています。30〜35坪のお住まいで比べると、両者の差は15万〜20万円ほどです。
ただし、この15万〜20万円という数字だけで決めてしまうと判断を誤ります。塗装は10年に一度しか発生しない工事なので、1回の金額ではなく「30年でいくらかかるか」で見ると答えが変わることがあるからです。この記事では、一級塗装技能士の立場から、シリコンとフッ素の違いを単価・耐用年数・30年総額・外壁材との相性の4つの角度で整理します。
シリコンとフッ素の違いを先に一覧で
細かい説明の前に、現場で判断するときに実際に見ている項目だけを並べます。
| 比べる項目 | シリコン塗料 | フッ素塗料 |
|---|---|---|
| 平米単価の目安 | 2,500〜3,500円/㎡ | 3,500〜5,000円/㎡ |
| 耐用年数の目安 | 8〜12年 | 15〜20年 |
| 30〜35坪の工事費の差 | フッ素の方が15万〜20万円ほど高い | |
| ツヤの持続 | 5〜7年で落ち始めることが多い | 10年を過ぎても残っていることが多い |
| チョーキング(白い粉) | 8年前後から出始める例が多い | 出るまでの期間が長い |
| 塗膜の性質 | 比較的やわらかく下地の動きに追従しやすい | 硬く締まった塗膜。ひび割れの多い外壁には注意 |
| 汚れの付きにくさ | 標準的 | 低汚染性が高く雨で流れ落ちやすい |
| 向いているお住まい | 10年ごとに塗り替える前提・売却や建て替えの予定がある | あと20年近く住む・足場を組む回数を減らしたい |
大づかみに言えば、シリコンは「1回あたりを安く」、フッ素は「回数を減らして長い目で安く」という性格の違いです。どちらが優れているという話ではありません。
塗料グレード別の平米単価と耐用年数
シリコンとフッ素は、外壁塗料のグレードの中では隣り合っていません。間にラジカル制御塗料があり、上には無機塗料があります。全体の位置関係を見ておくと、見積もりの比較がしやすくなります。
| 塗料グレード | 平米単価の目安 | 耐用年数の目安 | こんな方に |
|---|---|---|---|
| ウレタン | 1,700〜2,200円/㎡ | 約7〜10年 | 付帯部や短期のつなぎに使う |
| シリコン | 2,500〜3,500円/㎡ | 8〜12年 | 標準的なコストパフォーマンスを求める |
| ラジカル制御 | 2,800〜4,000円/㎡ | 12〜15年 | シリコンに近い価格で長持ちさせたい |
| フッ素 | 3,500〜5,000円/㎡ | 15〜20年 | 塗り替えの回数を減らしたい |
| 無機 | 4,500〜6,000円/㎡ | 20年以上 | 長期保有で総額を抑えたい |
ここで一つ知っておいていただきたいのは、耐用年数はメーカーが促進耐候性試験(人工的に紫外線や水を当て続ける試験)から算出した期待値だということです。実際の持ちは方位と立地で変わります。玉名市の現場でも、南面・西面の塗膜が先に傷み、北面はまだツヤが残っているお宅をよく見かけます。同じ家でも面によって差が出るので、カタログの数字は「条件がよければこのくらい」という上限に近い値だと考えてください。
グレード全体の違いや、ラジカル制御塗料の位置づけは外壁塗装の塗料の種類・グレード(ランク)で詳しく解説しています。
30〜35坪で比べると差は15万〜20万円
「結局いくら変わるのか」が一番知りたいところだと思います。シリコンとフッ素の平米単価の差は1,000〜1,500円/㎡ほどなので、あとは塗る面積を掛ければ差額が出ます。
| 建物の大きさ | 外壁面積の目安 | 単価差(1,000〜1,500円/㎡)で計算した差額 |
|---|---|---|
| 20〜25坪 | 約80〜100㎡ | 約8万〜15万円 |
| 30〜35坪 | 約120〜150㎡ | 約12万〜22万円(多くは15万〜20万円に収まる) |
| 40〜45坪 | 約160〜190㎡ | 約16万〜28万円 |
足場・高圧洗浄・下地処理・シーリング・養生・諸経費はグレードが変わっても同じなので、差額のほとんどは塗料と塗装手間の差です。逆に言うと、シリコンからフッ素に変えても工事全体の金額が2倍になるようなことはありません。
なお、坪数から外壁面積を割り出す係数計算は業者ごとに10〜20%ずれます。単価を比べる前に、実測の壁面積で見積もってもらうことが前提になります。この点は相見積もりを金額だけで比較しない方法にまとめています。坪数別の総額の目安は玉名市の外壁塗装費用相場をご覧ください。
30年で見ると総額はどうなるか
ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。塗装工事には毎回かならず足場代がかかります。玉名市周辺の戸建てで15万〜20万円です。つまり塗り替えの回数が1回減れば、塗料の差額よりも大きい金額が浮く計算になります。
30〜35坪のお住まいに30年住み続ける前提で、外壁塗装だけを並べるとこうなります。
| グレード | 1回あたりの目安 (30〜35坪・足場込み) |
塗り替えの目安 | 30年間の回数 | 30年の総額目安 |
|---|---|---|---|---|
| シリコン | 90〜115万円 | 8〜12年 | 3回 | 270〜345万円 |
| フッ素 | 110〜140万円 | 15〜20年 | 2回 | 220〜280万円 |
| 無機 | 125〜150万円 | 20年以上 | 2回 | 250〜300万円 |
1回あたりで見るとシリコンが20万〜25万円安いのに、30年の合計では逆にシリコンの方が50万円以上高くなります。回数が1回多いぶん、足場代(15万〜20万円)・高圧洗浄・養生・諸経費という「塗料と関係のない費用」をもう一式払うことになるためです。足場だけで見ても、シリコン3回なら45万〜60万円、フッ素2回なら30万〜40万円です。
ただしこの試算には前提があります。30年住み続けること、物価や人件費の上昇を見込んでいないこと、下地の傷み具合によって補修費が上乗せされることの3つです。10年以内に建て替えや売却を考えているなら、この計算はそのまま当てはまりません。正直なところ、ここを確かめずに「長い目で見ればフッ素がお得です」とだけ説明する業者の話は、いったん保留にしてよいと思います。
シリコンとフッ素、それぞれ向いている家
シリコン塗料が向いている家
- 10年ごとに塗り替えて、そのつど色や仕様を変えたいお住まい
- 10〜15年以内に建て替え・売却・相続の可能性があるお住まい
- 外壁に細かいひび割れが出ていて、塗膜の柔軟性を優先したいモルタル外壁
- 今回は予算を抑えて、屋根やシーリングなど傷みの大きい部分に費用を回したい場合
正直なところ、シリコンは「安いから性能が低い」という塗料ではありません。8〜12年という耐用年数は、日本の戸建ての塗り替え周期とほぼ一致します。問題になるのは、5〜7年でツヤが落ち始め、8年を過ぎたころからチョーキング(外壁を手でこすると白い粉が付く現象)が出やすいことです。見た目の変化が早い、と言い換えてもいいと思います。チョーキングの意味と放置したときの影響は外壁の白い粉(チョーキング)とはで説明しています。
フッ素塗料が向いている家
- あと20年近く同じ家に住む予定があるお住まい
- 足場を組みにくい立地(隣地が近い・前面道路が狭い)で、工事の回数自体を減らしたいお住まい
- 有明海に近く、飛来する塩分や強い日差しで傷みが早いエリアのお住まい
- 3階建て・総二階など、足場代の比率が大きいお住まい
逆にフッ素をおすすめしにくいのは、外壁にひび割れが多く出ている場合です。フッ素の塗膜は硬く締まるため、下地が動く外壁では塗膜側が追従しきれないことがあります。この場合はグレードを上げる前に、ひび割れの補修方法を決めるのが先です。判断の目安は外壁ひび割れ補修の費用と0.3mmの目安にまとめています。
外壁材によって相性が変わる
塗料のグレードだけで決められないのは、外壁材ごとに傷み方が違うからです。同じフッ素でも、サイディングとモルタルでは意味合いが変わります。
| 外壁材 | 先に出てくる劣化 | 相性のよいグレード | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 窯業系サイディング | 目地シーリングの割れ・肉やせ | シリコン〜無機まで選べる | 塗料より先にシーリングの打ち替えが必要。塗膜だけ長持ちしても目地から水が入る |
| モルタル | 乾燥収縮によるひび割れ | 微弾性フィラー+シリコン | ひび割れが多い場合、硬い塗膜のフッ素・無機は追従しにくいことがある |
| ALCパネル | 吸水と目地の劣化 | フッ素・無機 | 吸い込み止めの下塗りが要。防水性能を長く保てるグレードが有利 |
| コンクリート・RC | 爆裂・中性化 | フッ素・無機 | 鉄筋が露出していれば補修が先。塗料では止められない |
| 金属サイディング・トタン | 錆・色あせ | シリコン以上+錆止め下塗り | ケレン(素地調整)の丁寧さで持ちが大きく変わる |
サイディングの目地は、塗料のグレードを上げても寿命が延びるわけではありません。フッ素で15〜20年もたせるつもりなら、シーリングも高耐久タイプ(期待寿命15〜20年)に合わせないと、途中で目地だけ先に切れてしまいます。この組み合わせは外壁シーリング打ち替え費用で詳しく書いています。
玉名市・熊本の気候から見た選び方
熊本は梅雨の雨量が多く、夏は紫外線が強く、秋には台風の通り道になります。2026年も6月4日に梅雨入りし、雨の日は施工ができない日が続きました。この環境では、紫外線による劣化とチョーキングの進行が他地域よりやや早く出る印象があります。
さらに玉名市・長洲町・荒尾市の海側は、有明海からの飛来塩分の影響を受けます。金属部分の錆が早いお宅では、外壁より先に雨樋の留め具や雨戸が傷んでいることもあります。こうした立地では、外壁だけ高いグレードにしても家全体の見た目は保てません。
だからこそ、初期費用だけでなく「次の塗り替えまでどれくらい保たせたいか」を基準に選ぶことをおすすめしています。塗り替えの時期そのものの見極め方は外壁塗装は何年に一回か、着工に向く季節は外壁塗装はいつがベストか、費用・工期の基本的な疑問は外壁塗装のよくある質問30問を参考にしてください。
見積書に「シリコン」「フッ素」と書かれていたら確認すること
ここは現場の人間として、いちばんお伝えしたい部分です。「シリコン」「フッ素」はグレードの呼び名であって、製品名ではありません。同じシリコンでも樹脂の配合量で耐久性は変わりますし、規定より薄めて塗れば、どんなに良い塗料でもカタログどおりの年数は出ません。見積書では次の6点を確認してください。
| 確認する項目 | 見積書での書かれ方 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| メーカー名・製品名 | 「シリコン塗料一式」ではなく、メーカー名(日本ペイント・関西ペイント・エスケー化研など)と製品名まで | 同じ「シリコン」でも樹脂の配合量で耐久性が変わる |
| 塗り回数 | 下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りと明記されているか | 中塗りを省くと膜厚が足りず、耐用年数が数年単位で落ちる |
| 所要量・使用缶数 | 「○kg/㎡」「○缶」の記載 | 規定より薄めて塗られていないかを後から確かめられる |
| 下塗り材の種類 | シーラー/フィラー/微弾性フィラーの別 | 外壁材と旧塗膜に合った下塗りでないと数年で剥がれる |
| 塗装面積の算出根拠 | 実測の壁面積か、延床面積×係数か | 面積が違えば単価の比較自体が成立しない |
| 付帯部に使う塗料 | 雨樋・破風・雨戸のグレードが別記されているか | 外壁だけフッ素で付帯部がウレタンだと、付帯部から先に色あせる |
この6点にきちんと答えられる業者であれば、グレードの提案理由も説明できるはずです。逆に、理由を説明せず金額の安さだけを強調される場合は、内容を確かめてから判断してください。施工品質を担保する資格の確かめ方は外壁塗装業者に資格は必要か、契約前後でつまずきやすい点は外壁塗装の失敗・後悔10例と防ぎ方にまとめています。
付帯部を外壁と同じグレードにするか
意外と見落とされるのが、雨樋・破風板・鼻隠し・軒天・雨戸・水切りといった付帯部です。面積は外壁の1割程度ですが、ここが先に色あせると家全体が古く見えます。
| 部位 | 傷み方 | グレードの考え方 |
|---|---|---|
| 雨樋・破風板・鼻隠し | 紫外線で色あせ・反り | 外壁をフッ素にするなら同等グレードで合わせたい |
| 軒天 | 雨漏りの跡・カビ | 透湿性のある専用塗料。グレードより換気と下地の確認が優先 |
| 雨戸・戸袋・水切り | 錆・膜の浮き | ケレンと錆止めが本体。上塗りのグレードは外壁に合わせる |
| 玄関ドア・木部 | 塗膜の割れ・やせ | 素材ごとに専用塗料。刷毛で仕上げる範囲が多い |
合同会社いのうえでは、玄関ドアの下地処理や巾木・木部の塗装も職人が刷毛で仕上げています。ローラーで届く面だけをきれいにしても、細部が粗いと仕上がり全体の印象が変わってしまうためです。工事全体の進み方は施工の流れでご確認いただけます。
玉名市Y様邸|シリコンから無機へ切り替えた実例
玉名市のY様邸では、以前シリコン塗料で塗装した外壁が白亜化(チョーキング)し、触ると白い粉が手に付着する状態になっていました。屋根にも黄色い苔・藻の付着が見られたため、今回は無機塗料で外壁・屋根・軒天・破風板・雨樋まで塗り替えるご提案をしました。棟の下地補修とシーリングの打ち替えで雨水の浸入経路を止めたうえで塗装工事に入り、石調の腰壁は風合いを活かすためクリア塗装とするなど、部位ごとに仕様を分けて仕上げています。
担当した一級塗装技能士は「無機塗料は耐候性に優れており、今回のように苔やチョーキングが目立っていた屋根・外壁も、長期間美しい状態を保てるようになります」とコメントしています。シリコンから一段グレードを上げると次の塗り替えまでの期間を延ばせるのは、こうした現場の変化からも実感いただけます。詳しい施工内容は施工事例ページでもご覧いただけます。
合同会社いのうえでは、一級塗装技能士と一級建築施工管理技士が連携して現場を見ています。職人として「この外壁にこの塗料が密着するか」を判断する目と、管理者として「この工程でこの膜厚が出ているか」を確認する目は別ものです。塗料選びの精度は、この両方を現場で回せるかどうかで決まると考えています。塗装工事のメニューや会社概要もあわせてご覧ください。
シリコン・フッ素塗料に関するよくある質問
まとめ
この記事のまとめ
- ▶シリコンは平米2,500〜3,500円・耐用8〜12年、フッ素は平米3,500〜5,000円・耐用15〜20年が目安
- ▶30〜35坪(外壁120〜150㎡)で比べると工事費の差は15万〜20万円
- ▶30年で見るとシリコン3回・フッ素2回になり、足場代のぶん総額は逆転する
- ▶ひび割れの多いモルタルは硬い塗膜のフッ素が不向きなことがあり、外壁材との相性で判断する
- ▶見積書ではメーカー名・製品名・塗り回数・所要量・下塗り材・付帯部の塗料を確認する
- ▶一級塗装技能士と一級建築施工管理技士が連携し、外壁の状態に合った塗料をご提案します
玉名市・熊本エリアの外壁塗装・屋根塗装は合同会社いのうえへ
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